エアノズルとは|構造、種類、選定方法について解説

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日本の電力使用量のうち約50%は一般製造工場と言われており、そのうち約20%つまり日本全体の約10%をエアコンプレッサが占めています。

つまり、エア消費量を削減すれば電力使用量を削減できるため、地球環境にも会社経営にもメリットがあるのです。

この記事では、エアノズルの概要とエアノズルによる省エネ対策を解説しています。メーカーや工場の設備導入担当の方や設備設計担当の方は、ぜひ最後まで読んで下さい。

エアノズルとは

エアノズルは入力されたエアに対して、適正な圧力や流量、そして適正な範囲にエアを出力する(吹き出す)ものです。本来エアは横に広がりづらく、発生源から距離が離れるほど減衰するという特徴があります。しかし、エアノズルを使用することにより、エアの特徴をある程度カバーし所望の仕事をしてくれるのです。

エアノズルがする仕事には次のようなものがあります。

  • 水切り
  • 乾燥
  • 冷却
  • 異物除去

いずれの仕事も目標値、あるいは目標とする状態があります。ただエアを吹き付けるだけではそれらの目標は達成できません。圧力や流量が足りないと仕事ができず、過剰だとオーバースペックとなり余計なランニングコストがかかってしまいます。

エアノズルの構造

エアノズルの構造は絞ったホースと基本的に同じです。エアノズルはエアチューブとの接続部において、エアチューブの内径と同等の有効断面積を持ちます。しかし次第に狭くなっていき、エアの出口ではオリフィスと呼ばれる細い流路をエアが通過して大気中に噴出されます。

エアノズルの種類

代表的なエアノズルを三つ紹介いたします。

ストレートタイプ

ストレートタイプ

ストレートタイプはボディが円筒状、先端が円錐状となっております。前述の通りノズル内にはオリフィスがあり、ノズルから噴射されたエアは広がりを持たず直進性も高いため、ピンポイントで対象物に当たります。

フラットタイプ

フラットタイプ

フラットタイプの特徴は、幅が一定で薄板状かつ指向性の高い空気が出ます。水滴除去や乾燥に最適です。また、ストレートタイプほどではありませんが衝撃力もあり、衝撃力と噴射範囲のバランスが良いのが特徴です。

カーテンタイプ

カーテンタイプ

カーテンタイプのエアの噴射範囲はフラットタイプに比べ幅を選択できます。また幅方向に均一性の高いエアを噴射できます。噴射範囲を段階的に選べるため、比較的大きなワークであっても一つのノズルで対応できる場合があります。

エアノズル選定時の注意点

エアノズルの選定時には注意点があります。

設備仕様の確認

まず工場に供給されるエアの仕様を確認しましょう。

すべてのエアノズルは、使用するエア圧力が一定の範囲になっています。そもそも工場に供給されるエア圧力(コンプレッサで生成する圧力)がエアノズルの使用範囲内か確認しましょう。

次に設備(装置)の一次側に設置されているレギュレータの設定圧力を確認しましょう。

いくら供給される圧力が高くても、装置にはレギュレータの設定圧力のエアしか供給されません。エアノズルの仕様によっては、レギュレータの設定圧力では足りない場合があります。

ただし、レギュレータの設定圧力は、エアシリンダなどその装置の空圧機器すべてに影響を及ぼすため簡単には変えられません。

使用環境の確認

エアノズルを使用する現場の環境の確認も必要です。現場が薬液の雰囲気中にあったり、水がかかる環境だったりすると、その環境下で腐食しない材質を選定する必要があります。また、エアにゴミなど異物が含まれているとエアノズルが目詰まりする可能性があります。そのときには別途エアフィルターを設置して、回路に流れるエアをきれいな状態に保ちましょう。

エアノズル仕様の確認

エアノズルはそれぞれ、最大圧力、最大流量、噴射角度などが決まっています。一方、エアを噴射する目的や範囲に応じて要求仕様は変わってきます。エアノズルの仕様が要求仕様に対して過不足ないようにしましょう。

エアノズルには形状の分類以外にも、使用する空圧源によって二種類に分けられます。一つは今まで説明してきたコンプレッサエア用、もう一つはブロワエア用です。

コンプレッサエアは比較的高圧(〜0.7MPa程度)で低流量、反対にブロワエアは比較的低圧(0.1MPa程度)で高流量という特徴があります。それぞれ専用のエアノズルが設定されており、兼用はできませんので注意が必要です。

省エネ・節電対策に最適なトリーエンジニアリングのエアノズル

省エネ・節電対策に最適なトリーエンジニアリングのエアノズル

冒頭で紹介したとおり、現代では持続的な省エネ・節電対策が必要です。そのような環境には、トリーエンジニアリングが開発したエアノズル「Hayate」が最適です。

エアノズル「Hayate」導入のメリット(エア使用量削減と騒音の低減)

一つ目のメリットはエア使用量(消費量)を削減できることです。

Hayate Type-S05というフラットタイプのエアノズルを例に説明しましょう。Hayate Type-S05のエア消費量は150L/minです。それに対してお客様のご使用頻度の高い3社の平均は797L/min。一年間操業すると、前者の年間コストは17,280円、後者は91,853円となりその差は約1/5となります(※2)。

(※2)エア生成コスト:1円/㎥、年間稼働時間:1,920時間として計算
1,920時間の内訳は8時間/日✕20日/月✕12か月/年

二つ目のメリットは騒音(使用時の音)を低減できることです。

Hayate Type-S05の騒音(音圧レベル)は71.7dB、それに対してお客様のご使用頻度の高い3社の平均は85.2dBなのです(※3)。参考までに70dBというとセミの鳴き声ややかんの沸騰音、80dBというと電車(在来線)や地下鉄の社内の音に相当します。数字ではほんの15dB程度の差ですが、音の例を読むとその差が分かるでしょう。

(※3)Hayate Type-S05の騒音はエアノズルから1mの距離、地上から1.2mの高さにて測定
自社調べ

省エネや低騒音の秘密

通常、エアノズル先端部でエアが噴射されると、その周りに乱流が発生します。乱流とはエアがまっすぐ流れず、メインの流れから外れる一部の流線が発生したり、流線が渦を巻いたりして乱れた流れのことをいいます。

乱流があると次のようなデメリットがあります。

  1. 入力したエアの一部が乱流を作ることに使われる
  2. 大きな騒音が発生

そのため、Hayate Type-S05は極力乱流を発生させないような形状に設計しています。そのため、入力したエアが効率よく使われる、騒音を小さくできるというメリットがあるのです。

また、エア噴射時にエアノズル先端部には負圧ができるため、周囲のエアを巻き込みます。そのため、実際には入力していない周囲のエア(大気二次エア)も出力として利用できるため、エア消費量のわりに効率の良い出力が得られるのです。

お客様の声

ここでお客様からいただいた声を紹介いたします。

「エア消費量が従来比1/5になった」
「水滴残りにより外観検査や印字検査のNG判定が減った」
「トータルの年間ランニングコストが数十万円〜数百万円ほど下がった」

このように弊社のエアノズルが多くのお客様の工場運営の役に立ち、ひいては地球環境の改善に貢献します。

テスト用サンプルノズルの貸出は随時行っています。ぜひお気軽にトリーエンジニアリングまでご連絡ください。