工場に求められるCO2削減の進め方を事例とともに解説

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球温暖化の原因の一つとされる二酸化炭素(以下、CO2)。日本においても、子どもの頃と比べると気温が上がったと感じている方が多いのではないでしょうか。

実際、気象庁のデータによると2022年は1898年の統計開始後4番目に気温が高い年でした。また、100年あたり1.3℃の割合で上昇を続けているという事実もあります。平均気温の上昇は世界的に起こっている現象でもあり、CO2の排出量削減は喫緊の課題です。

この記事では工場に求められるCO2削減の事例を紹介しています。今やCO2削減は大企業だけが対策すればいい問題ではありません。メーカーの施設担当や設備担当の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

工場に求められるCO2削減

日本では令和3年10月22日の閣議決定において、2030年度時点で温室効果ガスを2013年度比46%削減、2050年度時点で50%削減という目標を掲げています。これにより、業種や企業規模に限らず、CO2削減に向けて取り組む必要があるのです。もちろん中小企業にとっても他人事ではありません。CO2削減に取り組む中小企業が少ない今は、むしろチャンスともいえます。

CO2削減事例の紹介

中小企業(一部組合)のCO2削減事例を紹介いたします。

事例1. アルミ加工メーカーの取り組み
(重油ボイラー廃止と再生可能エネルギーの導入)

あるアルミ加工メーカーでは当初約400t-CO2も排出していたCO2を、わずか8年程度で10t-CO2まで削減しました。

大きな転換点は二つ。一つ目は洗浄機の熱源の変更です。

生産工程で使用する洗浄機の熱源として使用していたボイラーを電気(ヒーター)へ変更することによりCO2排出量を削減したのです。変更前より電力消費量は増加しましたが、トータルのCO2排出量は削減されました。

二つ目は再生可能エネルギーの採用です。

再生可能エネルギーはコストが高い傾向にありますが、エネルギー使用量の削減と併せることでCO2削減を達成しました。

2010年頃には約400t-CO2以上あった年間排出量が重油ボイラーの使用を停止した2015年には約250t-CO2に減り、そして2018年〜2021年は10t-CO2前後で推移しています。

事例2. ふとんメーカーの取り組み
(重油ボイラー廃止の導入と羽毛のリサイクル)

このメーカーも、前述のアルミ加工メーカーと同様にボイラーの動力源を変更しました。従来は重油で温めるボイラーでしたが、LPガスで温めるものに変更。これにより、年間約66t-CO2の削減を達成しました。また、購入するエネルギーも再生可能エネルギーに変更しています。

ふとんメーカーならではの取り組みも行っています。

回収したふとんから羽毛を取り出し、リサイクル(洗浄、機能回復加工)することで2020年には年間約180t-CO2の削減を達成しています。また、羽毛のアカやホコリを特殊段ボールの製造に利用。約4,500kgのゴミとなる予定だったものから、約80万個分の特殊段ボールに再利用し、年間約9t-CO2の削減に成功しています。

事例3. サイン(看板)メーカーの取り組み
(照明のLED化とレーザー装置の変更)

このメーカーでは工場照明に水銀灯を使用していましたが、LED化することで年間約14.5t-CO2の削減を達成しています。また、製造で使用するレーザーの方式を、CO2レーザーからファイバーレーザーへ変更することにより年間約27t-CO2の削減に成功しています。

省エネだけでなく自家発電にも取り組み、年間約50kWの電力を太陽光発電により調達しています。これは同社の電力使用量の約25%を占め、年間約15t-CO2のCO2排出抑制につながっています。他にも電力の見える化や電気自動車(営業者)の導入、そして蓄電池の導入をあわせると、2013年には約140t-CO2排出していたCO2を、現在では約70t-CO2まで削減しています。

事例4. 製紙メーカーの取り組み
(太陽光発電とバイオマス発電の導入)

このメーカーでは古紙パルプを使ってお菓子のパッケージなどを製造しています。

取り組んだのは広大な敷地を利用した太陽光発電と、製造工程で排出されるペーパースラッジを原料としたバイオマス発電。バイオマス発電では導入前に比べてCO2の排出量を55,000t-CO2削減。業界トップの再生エネルギー比率83%を達成しました。

事例5. 生活協同組合の取り組み
(SVOを利用したコジェネレーションシステム)

最後に紹介するのは食品の小売や宅配をしている生活協同組合の取り組み。工場の取り組みではありませんが、工場でも活用できそうなので紹介いたします。

同組合では天ぷら油による発電をしています。回収した天ぷら油(廃油)を遠心分離機とフィルターに通してゴミを除去します(SVO=ストレートベジタブルオイル)。この状態で燃焼させて発電に利用するのです。

SVOによって得られるのは電気だけでありません。発電時(燃焼時)の排熱により温水を作ったり、通常の燃料より粘度の高いSVO燃料のタンクの保温に使ったりしています。

同組合ではこの取り組みにより、年間38t-CO2の削減に成功しています。

工場の省エネ・CO2削減に貢献するトリーエンジニアリングのエアノズル

工場の省エネ・CO2削減に貢献するトリーエンジニアリングのエアノズル

CO2排出量削減を考えるときに意外な盲点がエア。エアの使用量を削減することで節電につながり、ひいてはCO2排出量削減につながるのです。

トリーエンジニアリングのエアノズル「Hayate」

エア消費量を削減するにはエアチューブ等からの漏れをなくしたり、高効率のエアシリンダを導入したりする方法がありますが、比較的取り組みやすくて大きな効果を期待できるのがエアノズルの変更です。

トリーエンジニアリングでは「Hayate」というシリーズのエアノズルを製造・販売しています。Hayateはノズル先端での乱流を抑制する形状設計によりそもそもエア消費量が少ないうえに、ノズル先端部で発生する負圧により周囲の大気を巻き込む(大気二次エア)ため、エア消費量のわりに出力するエア流量が多くなるのです。

エアノズルのCO2削減効果

Hayate-Type-S05のエア消費量は150L/min、お客様のご使用頻度の高い3社の平均は797L/minです。また、Hayate-Type-S05年間CO2排出量は0.75t-CO2であるため、エア消費量の削減が電力使用量の削減につながり、流量差がそのままCO2排出量に比例するとお客様のご使用頻度の高い3社の平均は3.98t-CO2となります。この試算はノズル一つあたりですので、工場で使用しているノズルの数を考慮するとCO2削減効果が小さくないことが分かるでしょう。

お客様の声

お客様から次のようなお言葉をいただいております。

「エア消費量が従来比1/5になった」
「トータルの年間ランニングコストが数十万円〜数百万円ほど下がった」

このように弊社のエアノズルが多くのお客様の工場運営の役に立ち、ひいては地球環境の改善に貢献します。

テスト用サンプルノズルの貸出は随時行っています。ぜひお気軽に株式会社トリーエンジニアリングまでご連絡ください。